2017年9月15日 日付をまたいでもオーロラは出続けてくれました。

  • 9月15日,前の記事から2時間程しか経っておりません。北緯75度,西経173度30分を西に航走しております。先の記事よりやや西におります。

  • 立て続けのオーロラ投稿。日付が変わる前の先ほどよりも全天明るいオーロラが見られたので,たくさん写真を載せてみました。お楽しみください。

(杉江)





2017年9月14日 全天オーロラ

  • 「みらい」は北緯75度西経175度付近を西に向かって航走中。時刻は夜の11時半あたり。

  • 大きいオーロラが出た!との情報を聞きつけ,寝る前でしたが写真を撮ってきました。空全体に幾筋ものオーロラ。

  • 3枚しか載せられないのは,容量制限のせいではなく,船体の揺れと筆者(杉江)の腕がまだ悪く,イマイチいい写真が撮れていないから。。。でもまぁ,レンズキャップを外すとちゃんと写真が撮れることが良く分かりました!

(杉江)



2017年9月12日 変わり映えのしない日々,じゃなかった

  • 9月12日。昨日,今航海で2機目のセディメントトラップ係留系の回収を無事終え,続いて黙々と観測が続けられておりました。北緯73度,西経161度付近に「みらい」はおります。本日は,カナダ海盆の南端の水深500 mのところからチャクチ海の北端の水深25 mのところまで,水深が大きく変化する場での海洋微生物の分布特性をとらえるために設定された観測線を調査します。

  • しかし,観測はといえば本日も通常通り。水温・塩分などなど複数のセンサーを搭載した採水器システムによる観測,プランクトンネット観測,スクリプス海洋研究所の海水や水中の粒子の光学特性観測など。載せる写真にネタ切れ感がでてきたので,とりあえず顕微鏡で撮影したプランクトンの画像でも紹介しようかと思って準備したのがCeratiumという属(あるいはNeoceratium)の渦鞭毛藻。植物プランクトンです。
    どうやら光合成をする渦鞭毛藻のほとんどが,細菌や微細な藻類を食べる可能性が高いと考えられており,「植物」プランクトンと言うのはあまり適切では無いのかもしれません。このように光合成もするし,ご飯も食べる生活スタイルを「混合栄養」と言いますが,海には混合栄養生物がたくさんいると言われております。事実,この写真の種類は世界中の何処の海でも見つかるので,混合栄養という生活スタイルはいろいろな海を生きる上でメリットがあると思われます。

  • 上記のような記事でも書こうかなぁ,と午前中を淡々と過ごしていたわけですが,午後になると10 m/s以下だった風が15~20 m/sに強まり,波高も3~4 mに。時化た中での観測は危険なので夕方の観測点が1つキャンセルになりました。海のうねりによる大きな揺れ,波が当たる衝撃で震動する船体。航海に慣れていない人には恐怖を感じるかもしれません。ちなみに,筆者(杉江)は全く平気。

  • 平気なので,船橋に上って海の撮影。うねる北極海。波が前方から船に向かってきます。前進する船が波に乗り上げた後,船首が下がって行くときに次の波が船首の下に潜り込むと写真のように大きなしぶきが上がります。風は左前方から吹いたので,この後しぶきで一瞬視界が真っ白に。良い写真が撮れた!と,満足した頃合いに17時になったので食堂に降りて行き夕食へ。時化てても司厨の方々のお陰で問題なくご飯は食べられます。

  • とまぁ,時化ても脳天気に写真を撮ったりご飯を食べたり航海を継続できるのは,我々の研究のために航海を安全に進めてくださっている芥川船長を始めとした全船員さんのお陰さまです。本当にありがたいことです。

  • お,20時少し前。次の観測点に付いた模様。5分くらい前から風速が10 m/s,波高が2.5 mと観測可能な状態に!?本日の観測線を希望した研究者(塩崎)の念が低気圧を少し弱めたか。さて,観測に行ってきます。

(杉江)


Ceratiumという渦鞭毛藻
左舷側からの波を受けてしぶきが上がる。

2017年9月10日 航海期間の折り返しあたり

  • 9月10日,本船は北緯73度,西経160度付近を観測中です。一昨日あたりから風が収まり,海はとても穏やかです。そして安定の曇天。今年は全然晴れない。

  • 思い起こすことちょうど1年前。2016年の9月11日の北極での観測点はほとんど同じところでした。観測内容は氷縁観測。船橋にのぼり,辺り一面に広がる海氷を初めて見た筆者。興奮してたくさん写真撮っていたことが思い出されます。いかがでしょうか,今年と去年で同じ場所とは思えない風景。唯一の共通点は曇天といったところか。

  • 今年の西部北極海(図のエリア)は,昨年度と比べて氷縁がずっと北の方にあります。だいたい緯度にして5度ほど。日本だと東京-青森間くらいの距離でしょうか。どおりで同じところに思えないわけです。観測海域の海氷が後退しているお陰で今年は,昨年度,一昨年度にできなかった西の方,ロシア沖(もちろん排他的経済水域の外)の観測ができそうです。西部北極海の東西で海洋環境はどのように違うのでしょうか。オラ,わくわくすっぞ。

  • あと2,3日はこの辺りの大陸棚とカナダ海盆の境目を調査し,本船は北西に進路をとります。今年もあるのか,氷縁観測!?

  • 今日の晩ご飯は「みらい」では珍しくハンバーガーが出たので写真に収めてみました。ごちそうさまでした。 あ,そういえばタイトル通り,今日辺りが全航海期間の折り返しあたりです。ただ,北極海を出てから日本までの10日間は帰るだけなので,調査は残り約10日。

(杉江)


風が弱く穏やかな海と安定の曇天
今年の海氷の位置。ずいぶん北にある。
昨年の9月11_氷縁観測
カレードリアとハンバーガーと白身魚の香草パン粉焼

2017年9月8日 通常営業

  • 昨晩,北緯76度の観測を終え南下し,今朝は北緯74度,西経156度での観測です。ここの水深は3800 mと北極海の中で最も深いところです。
    水温は1度,気温も0.7度と氷点下ではなくなっております。塩分は25という値(だいたい1 Lの海水に25 gの塩分)なので,これまで観測してきた南の方の30前後の値と比べると明らかに低い。塩分がほぼゼロの海氷が溶け,海の塩分を薄めているようです。

  • さて,気づけば北極海での調査期間も折り返しを過ぎ,皆さん黙々と作業を進めております。
    採水器が上がってくるなり採水をする人々。
    その後に続く乱流(微細な海水の動き)の観測。
    その後はプランクトンネットによる動物プランクトンの層別採集。

  • 周りの気温こそ違えど,写真も現場もあまり変わりがありません。なぜならほとんどお喋りがないから音が無いのです。黙々々々々...

  • 疲れもあるでしょう,毎日同じメンバーで仕事を進めているが故の話のネタ切れもあるでしょう。ただ観測点に本船が到着するなり半自動的に身体が動いてしまっているかのようです。

  • かく言う筆者(杉江)は本日,温暖化や海洋酸性化がプランクトン群集に及す影響を評価するための培養実験を終えたのですが,私もまた,その風景を撮影することなく,黙々と仕事を進めてしまい作業風景の写真が撮るのを忘れました。

  • 後半戦にさしかかって参りましたが,黙々と集中して事故無く安全な観測を続けて行きたいと思います。

(杉江)


黙々と採水
黙々と乱流の観測
黙々とプランクトンネット観測

2017年9月6日、7日 低気圧襲来

  • 9月6日。朝から風速10 m/s程度が続き,バロー渓谷に昨年設置した係留系2系を回収するも,午後になって風が強まり天候&海況が悪化したため3系目の回収を延期することに。荒天待機で何もしないのも勿体ないので風が少し弱いであろう所,海氷を目指して北上することになりました。衛星などの情報から,バロー渓谷のある北緯71度から海氷がありそうな北緯76度まで,船で走り続けること約1日掛かります。

  • 北上を始めると早速15 m/s程度の東風に吹かれ,うねる北極海に「みらい」の船体は傾きます。どきどき舷側をこえてしぶきが船首甲板まで上がってきます。船橋からその様子を撮影。揺れる船から水平線を水平に撮るのは難しいので,船の地面を水平としてカメラを構えて撮影。撮った写真は画像ソフトで水平線を水平にしました。かなり傾いて見える水平線ですが,この傾きは8度ほど。大したことないですね。帰りのベーリング海ではもっと荒れるんだろうなぁ。

  • 翌朝,外気は-3~-2度,水温-1~0度。北緯71度付近の水温は約4度,気温は2~4度だったので...どっちも寒い。海氷のありそうなところに到着するのはお昼過ぎの予想。まだ周りには海水しか見えません。「みらい」は順調に北上を続けます。

  • 13時ごろ。"耐"氷船「みらい」("砕"氷船ではない)に海氷と戦う意志はないため,氷のあるエリアでは船速を落とします。が,船速が落ちる気配がありません。外は一面の海水。どこいっちゃったの?氷。昨日から続いている"東風"で"北"に海氷が移動してしまったのかもしれません(エクマン輸送:気になる方はGoogleでチェックしてね)。

  • 14時半。北緯76度26分,西経157度16分の位置で北上を止め,採水などの観測が始まりました。これ以上北上すると北緯71度に残したバロー渓谷の係留系回収とその後の設置に戻るのにも時間が掛かってしまいます。航海時間は限られているのです。

  • 19時。最北の観測点での観測を終え,南下開始。慌ただしい2日間でした。明日はバロー渓谷での係留系1系の回収と3系の設置です。陸の皆さまからも成功を祈って頂けると幸甚です。

(杉江)


右舷側からの波をうける「みらい」
水平線をまっすぐにするとこんな感じだけれど,
船内の地面を水平とすると船の傾きが分かる。

2017年9月3日 久しぶりの青空を見た日の夜

  • 9月3日。本船は北緯71度,西経151度付近のバロー北東沖を調査中です。

  • 今航海中,ベーリング海況を抜けてからというもの,曇天や降雪が続いておりましたが,本日はようやく晴れました。お日様々。
    日中の良い天気の写真でも撮っておこうかと思うも,実験の手が離せませんでした。
    ここ数日は目が回るような忙しさでなかなか本航海日誌を執筆する時間がとれませんでした。

  • 晴れた日の夜,満天の星空はもちろんのこと,オーロラを期待せずにはいられません。出てこい出てこい!という思いとともに,実験室での作業をしていたところ,「オーロラでましたよ!」の声。
    「♪」

  • 今航海でオーロラを撮るために買ったと言っても過言ではないレンズをデジカメに装着し,これまた今航海のために買った三脚&レリーズ(リモートでシャッターを押せる。シャッターを押したときの手ぶれ防止)片手に,いざ写真撮影!

  • 甲板に出てみると,結構綺麗で明るいオーロラ。やったー!空のあちらこちらで緑のオーロラが出たり消えたりしている。おぉ!
    まずはISO感度12800まで上げて,F2.8と明るく撮れる設定で1枚。

  • ...真っ暗やん。

  • もう1枚。今度はシャッター速度をさらに遅くして。

  • ...真っ暗やん。

  • うーん,ピントが合わな。。。

  • レンズキャップしたままじゃん!!

  • その後も慣れないレンズと三脚に戸惑いながら,1枚,1枚,カメラの設定を調整しながらシャッターを切る。

  • 「うん,だいたいコツがつかめてきたぞ!」

  • という頃にはだんだん薄くなっていくオーロラ。待てど暮らせど明るいオーロラがでる気配がしない。気づけば薄い雲が空全体を被いそうではないか。あぁ,もう薄らぼんやり。。。

  • 良いカメラマンになるためには,日頃からしっかり練習しないとね。
    あ,違った,北極海に来てるのは研究のためだったわ。
    さしあたり,最盛期を過ぎた辺りからの3枚の写真をお楽しみください。

(杉江)


オーロラでたでた!
明るいオーロラがでるのを待つものの。。。
もう,薄らぼんやり。

2017年9月2日

2017年9月2日 天候 くもり、波1m 気温 3℃
  • <観測活動>
    本日は、朝からバローの沖合水深2000mの係留系地点で、セディメントトラップ係留系の回収・再設置作業、クロージングネット、漂流ブイの投入作業が行われました。
    セディメントトラップは、海の中を降ってくる様々な粒子を集める装置です。セディメントトラップ係留系は、トラップや様々なセンサー(水温、塩分、流向流速など)を観測したい深さに留まるように長さを決めたロープや浮き球を使ってつないでいき、ロープの根本を音響切離し装置と錘(おもり)で海底に固定した構成になっています。

  • 北極海にJAMSTECが投入しているセディメントトラップ係留系は筆者(小野寺)が担当しています。
    今回は、昨年の「みらい」航海で投入したものを回収し、新たなセディメントトラップ係留系をほぼ同じ場所に投入しました(これは来年の夏に外国の砕氷船で再訪して回収する予定です)。バロー沖では、チュクチ海の陸棚からカナダ海盆の南縁に沿うように、多くの物質や熱が輸送されてきます。その年間を通した水中の状況を、この係留系を使って捉えられればと期待しています。

  • セディメントトラップ係留系によって得られる粒子試料や各種センサーデータは、私以外にもJAMSTEC内外の研究者や大学の研究室の学生さんの研究テーマ試料としてシェアされます。
    この係留系は深海に高額な機材や借用品を一年間留め置いておくものですが、万全を期して投入したからといって翌年の回収も絶対に成功するとは限らないのが悩ましいところです。現場で係留系の回収・設置を担当する者としては、無事係留系と試料やデータが回収されて一安心です。今航では、もう一か所でもセディメントトラップ係留系の回収・再設置作業がありますので、そちらも無事済ませたいと思います。

  • 回収作業中は、海中から巻き取る係留ロープの傍らに一頭のトドが顔を出してくれました。

(小野寺)


セディメントトラップ係留系を回収する作業風景。
大仕事です。
係留していた機器の一部。これらの機器の中には1年分の水温,塩分,海水の流れなどの貴重なデータがつまっています。
セディメントトラップ。上から落ちてくるもの(沈降粒子)をとらえる装置。下の筒の底に黒く見えるものが沈降粒子の試料。

2017年8月30日 あぁ,もうそんな季節ですか

  • 8月30日。陸にいらっしゃる全世界数十億人の本航海日誌読者の皆さまはいかがお過ごしでしょうか。みんな,夏休みの宿題は終わったかな?

  • さて,本船は北緯71度付近まで北上してきました。
    水温は4度ほど。北極としては,まだかなり暖かい範疇です。しかし,気温は1度前後になってきましたので薄着で外に出ると危うく遭難しそうになります。ん?いや,それはないか。

  • 昨日から耳にはしていたのですが,本日降雪を目にしました。今年は8月末が初雪観測です。昨年の航海日誌を見返してみると,9月6日が初雪だったようで,今年はほんの少し,1週間程度早めの初雪観測となりました。汗だくで旅行バックを引きずっていた先々週末が遠い昔のようです。

  • 昼夜問わず寒い日が続きますので(@北極),皆さまもどうぞご自愛くださいませ。
    (みらいの現在位置の地図は,日本海洋事業の技術員さんが作成したものを改変したものです)

(杉江)


みらい現在位置

2017年8月28日 クリオネとリマシナの登場

  • 8月28日。天気,はれ。気温5度前後,水温8度前後。
    本船はベーリング海峡を抜け北上を続け,北緯69度付近まで参りました。丸1日,観測をしながら北上すると緯度が2度変わります。

  • 本日,北緯68.5度と69度の観測点で,それぞれクリオネとその餌のリマシナが採れたのを確認いたしました。一昨日からうすらぼんやりしたオーロラもでているのですが大したことないため,北極3年目で目の肥えた筆者は写真を撮っておりません。ということで動物プランクトンのお話し。

  • 1 cm程度の小さいクリオネです。安定のかわいさ。その隣にはNeocalanus cristatusという太平洋~ベーリング海に固有のカイアシ類(動物プランクトン)がおります。北極海では成熟-産卵という生活環か回らず,死んで行く運命にあります。さらにその右にピンぼけで移っている米粒状のものはCalanus glacialis。ベーリング海北部から北極海で最も良くみるカイアシ類の一種です。

  • 続いて,リマシナ。クリオネの餌です。通常は約10倍程度まで拡大できる実体顕微鏡で観察するところ,今回は100~400倍に拡大できる正立顕微鏡を使い,ビニールテープを重ねて加工した専用のミニ水槽付プレパラートに入れて観察しました。

  • 画面一杯に広がるどでかいリマシナ!直径約0.5 mm。いつも0.1 mmにも満たない珪藻を観察しているので,0.5 mmの生き物は顕微鏡下では巨大そのものです。泳ぎたがるリマシナをなだめながらの撮影。特に暗視野撮影はシャッター速度が遅い(撮影に2秒ほどかかる)ので,なだめるのが大変。弱るのを待ったというのはここだけの秘密です。腸管の中身や殻の巻きになどに興味津々で思っていたよりも没頭して観察してしまいました。

  • 動画では,拍動,殻の周辺で動く繊毛運動,筋肉内で動く歯車?のような組織などを撮影できました。これまで詳細に見たことの無い生き物を精査する作業はなかなかの面白さ。そんな生きたリマシナの動画が欲しい方は直接筆者までご連絡くださいませ。ごく一部のマニアには絶対ウケると思います!

(杉江)


クリオネとNeocalanus cristatus(中央上,大きい), Calanus glacialis(右,やや小さい)
リマシナを暗視野で撮影。
リマシナ。腸管内容物(緑褐色)が見える
リマシナ。翼足類の所以,翼足にフォーカス

2017年8月27日 珪藻類の大増殖

  • 8月27日,ベーリング海峡を南から北に向かって通過。只今北緯66.5度,西経168.9度くらい(みらいの現在位置の地図は,日本海洋事業の技術員さんが作成したものを改変しました)。
    ベーリング海峡の南西部では,表面水温が10度から一気に1度まで低下したと思ったら海峡南部では5度に上昇したりと,少し移動するだけで水の特性がガラリと変わっております。

  • そして,ここベーリング海峡周辺はいつ来ても海の色が茶色っぽい。海のにおいも違う。どちらかというと臭い。

  • 海を茶色くさせているのは珪藻という植物プランクトンが大発生しているから。臭いは珪藻が作っている揮発性の何か。硫黄の含まれる化合物と言われていますが,温泉の臭いとはまた風情が違います。風情といっても,見渡す限りのオーシャンビューと言えば聞こえがいいが,海以外何もないのだけれども。

  • 珪藻の大発生の引き金になっているのは恐らくベーリング海峡の南西部における水の特性の変化に違いない。どうやって科学したら成果の見栄えが良くなるかなぁ,というような議論が船では繰り広げられております。

  • そんな中,筆者は一時珪藻の写真家に転身し,北海道大学水産学部の阿部博士研究員,学生の徳弘さんがプランクトンネットで採ってきた試料を一部頂戴し,顕微鏡で珪藻の写真を撮りためております。あ,そういえば,2006年の親潮域での「白鳳丸」航海でも同じようなことをしていたなぁ。あれももう10年以上前か。変わらず綺麗な珪藻を見てニヤニヤするあたり,研究者として健全な精神が保ててるのかなぁ,と妙な自己肯定感を得ました。

  • 観測は始まったばかり。現場では次々と観測をこなしております。

  • と珪藻のお話しだけで終わろうというのは,他にいい写真が撮れなかったから。ベーリング海峡の南部では,クジラがものすごく沢山いたり,船の近くにトドが現れたりしたのですが,ずいぶん恥ずかしがりがり屋さんみたいでカメラに映ってはくれなかったから。カメラマンの腕のせいではないはず!

(杉江)


map
diatoms

2017年8月26日 2017年「みらい」北極航海の観測開始

  • 8月26日,?曜日(船内では気にしません。)風は7 m/sとやや残っておりますが,天気は晴れ。北方の海上としてはとても良い天気に恵まれた朝7時,今航海の観測が始まりました。最初の観測点は北緯63度5分,西経174度です。外気は7度。北極航海としてはまだ“ずいぶん”暖かいという範疇です。

  • さて,水柱の光学観測に始まり,毎度おなじみ?ニスキン採水器による採水(生物,化学,物理学等の観測),スクリプス海洋研究所から乗船している研究者による海中の光環境や粒子の観測,プランクトンネットを使った動物プランクトンの観測,海水の混ざり具合(乱流)の観測が行われました。遅ればせながら,読者の皆さまには,ほんの一瞬で良いので今航海の安全と成功を心の片隅より願って頂けると幸いです。

  • というような航海日誌を毎年書いているということもあり,これ以上筆がすすみません。淡々と観測点をこなし,淡々と過ぎて行く日々を過ごして参ります。ということで本日はこの辺で。というのも,日本酒が回ってきたから。「鍋島」,香りの華やかさの中にもしっかりしたボティを感じさせ,且つ,スイスイと飲め,飲み過ぎ必至故に翌日にひびきやすいものの,すばらしい銘酒です。

(杉江)


St.1の採水開始
北海道大学水産学部によるプランクトンネット作業
スクリプス海洋研究所の研究員の観測
船外艇での観測練習

2017年8月25日 観測前日の風景

  • 船内は8月25日,北緯60度くらいから西経173度付近に沿って北上中。水温は10度と今年も去年と,ベーリング海にしては同様暖かい印象。こんなもんなのかなぁ。しかしどうやら今年の観測海域での海氷はずいぶん北の方まで溶けているようです。

  • さて,来たる8月26日は今航海初の観測点(北緯63度,西経174度付近)に到着いたします。船内の空気がいよいよ本気モードに変わってきました。準備に余念がありません。筆者も準備の真っただ中ですが,航海日誌の記録人として成すべきことが!

  • まずは午前中。海水の試料を採る,あるいは研究に使用する乗船者が全員集まって採水の講習並びに練習です。採る試料の目的毎に独特の「お作法」が有り,経験の浅い乗船者にはやや難解でしょうが,慣れていただくより他ないんです。頑張れ若人よ。

  • その後,船外に小型のボートを出して観測するための練習もしておりました。小型 ボートでの観測は今航海初の試みなので,探り探り最良解を見つけ出そうとしているようです。面白そうな観測なので,うまくいくことを願っております。うまくいったら後日紹介します。ただし今後,何も紹介がなかったらうまくいかなかったということをお察しください。

  • その他,係留系に装着するセンサー類(写真で並んでいるのは水温,塩分,密度,水深をモニターできる測器)の綿密なチェックも行われておりました。あ,係留系の設置等はしばらく先の観測項目か。

  • やはり現場に来て使用する測器そのものと対峙して初めて分かってくることがしばしばあり,机上の空論はときどき全く役に立たないことを体感できます。さて,いよいよ明日は観測開始。筆者はカモメを撮りながら写真の練習にも余念がありません。

(杉江)


採水関係者が全員集合して講習と練習
係留系につける測器のチェック
船外艇を使った観測のシミュレーション
かもめ

2017年8月24日 装置のテスト

天候 やや晴れ、波1-2m 気温 10℃
  • <研究活動>
    船はダッチハーバーを23日16時(日本時間24日9時)に出港したあと、ベーリング海の海盆東部を北西に進み、24日昼過ぎには陸棚手前の海域にやってきました(北緯56° 西経172°付近, 水深約3000m)。今日は本航海で設置する海底固定型係留系の音響切離し装置をここで深度1000mまで降ろし、水中音響通信試験を行います。音響切離し装置は、係留系を1年後(場合によっては2~3年後)に回収する際に、海底の錘(おもり)と係留系を切り離す役目を果たす装置で、無事の回収を願う意味でも投入前の動作確認は重要です。

    この先、最初の北極海の海盆域の係留系地点に到達するまで、浅い陸棚海底地形がずっと続きます。陸棚域に設定された最初の観測点に一刻も早く行きたいところではありますが、係留系の設置点で作業を速やかに済ませるためには、この試験はなるべくここで済ましたい。そこで、マリンテクニシャンの松本さんと武田さん他、関係者の方々には出港前からこの準備をして頂きました。おかげで、どうにか実施できました。今日水中試験をした切離し装置は全部で14本。無事、すべての機材で通信確認が取れました。幸先良い感じであります。

  • <船内生活>
    八戸出港後3つ目の航海。タンクに残された淡水がちょいと不足ぎみらしい。造水が間に合わないと、浴槽のお湯張り禁止に加えて洗濯の隔日制がやってくるかも?

(小野寺)


CTDフレームに固定した音響切離し装置が水中試験を終えてデッキに揚収されるところを見守る松本さんと武田さん
今日の昼めし: 和・中華風の諸々

2017年8月23日 北極航海スタート

  • 8月23日,午前,正午過ぎに船内生活の安全教習,非常訓練を,それぞれ終え,小雨交じりで強風吹きすさぶ中,午後4時に「みらい」はダッチバーバーを出港しました。2017年の北極航海開始です。

    外国での出港はとってもビジネスライク。お見送りがあったりするわけでは無いので,陸が遠のいていく中,カメラを持たずに筆者(杉江)は淡々と甲板での機材の準備を進めておりました。

    作業が一段落したので部屋に戻ろうとすると,Jさんが写真を撮っていたので,出港時の記事(コレ)をお願いすると,別日程のものを書くとのこと。
    ということで,さしあたりカメラを居室に取りに行き,この記事のための風景撮影。
    もうダッチハーバーの港は霧の奥で見えなくなっておりました。

  • 少し後,テンションが上がり気味のJさんの手まねきに寄っていくと,たくさんのクジラに遭遇できました。ブロウ(潮吹き)があちらこちらで見えます。もうちょっと集まってくれないと良い写真撮れないんだけどなぁ,あともうちょいこっち来てくれる?には応じてくれませんでした。画面左側に背びれ,右側にブロウが2つ映っているベストショットをご覧あれ。

  • 夕食(スペアリブ美味い!)を食べ,山々に囲まれた湾を出てベーリング海を北西に航走しております。風速15~20 m/sほど。うねるベーリング海。
    悔しいかな,本記事を書く前に船酔いしてしまい,酔い止めの投入&睡眠をしてしまいました。(酔い止めを飲む=海に負けた気がする)

  • 本日はその他に観測に関わるミーティングなどがありました。明日は観測テスト。
    いよいよ調査開始に向けて動き出しました。(助走長すぎ?)

(杉江)


ダッチハーバー出港
クジラ3頭
夕食

2017年8月22日 船に乗る準備

  • 8月22日,いざ船に乗り込み,居室や実験室のセットアップをしております。
    忙しくなる前に,船内生活の一端について触れてみます。
    船内ではほぼ不自由なく生活できのですが,長期の航海中にふと食べたくなるもの,聞きたい音楽,見たいテレビ・映画などなど,趣味趣向が満たされない事があります。

    筆者(杉江)が必ず持参するものは,1.西川のマットレス「Air」と2.大量の飲食物,3.お水の3点。

  • 1.西川のマットレス「Air」
    「みらい」に備え付けのマットレスはかなり硬く,私には合っていません。「Air」を手にするまでは腰の痛みで目が覚めるようになり,狭いソファー(やや柔らかい,吸湿性ゼロ)で寝たりするなど,快適な睡眠とはほど遠い環境でした。それがこのマットレスを導入してからというもの,なんと素晴らしいことでしょう,ぐっすり寝られて腰の痛みとはサヨウナラ!皆さんもいかがですか?
    (でもお高いんしょー)
    それが今なら何と。。。価格はデパートかwebにて!
    備え付けの別途の幅が狭いため,「Air」は横からはみ出します。転落防止に一役買っているかも。

  • 2.大量の飲食物
    食堂で朝・昼・晩,希望者には夜食まで供食されるにもかかわらず,各種お菓子やおつまみを携帯していきます。あとはお酒。これは欠かせない。。。スーパー,コンビニ,デパ地下,さらには通販で各種嗜好品を入手しております。明治屋のオイル漬け缶詰各種はどれも満足度が高い!あとは,日頃は飲まない日本酒を少々。一仕事終えた時のささやかなお祝いです。今航海は,鍋島,醸し人九平次,酔鯨,獺祭。うへへ。

  • 3.お水
    個人的には船内の飲料水がかなり美味しくない。煮沸してコーヒーを入れても謎の臭いが残ります。簡易な浄水器では臭いが落ちないし。ということでお水は必ず持参。
    苦労の甲斐あって,カルディやスタバで買ってきたコーヒー豆は,今日も美味しく飲まれております。

  • しかし,今航海は些細な忘れ物がたくさんありました。本記事を書くときの知識の裏付けのための電子辞書,目薬,数値入力用のキーパッドなどなど。何で入れ忘れたんだろうか。。。

    さて,明日はいよいよ出港!

(杉江)


はみ出るマットレス
いとお菓子

2017年8月21日 航海日誌,序章の最終章

  • 8月21日午後13時に「みらい」はダッチハーバーの港に着岸しました。いよいよ船に乗り込んで準備開始です。
    といっても,まだ倉庫から動かせない荷物がほとんどだったので,船内の皆さんに挨拶して,明日以降のプラニングとできることを少々。

  • 夕方に「みらい」を下船し,ふらふら歩いていると,遠くの方で何匹もラッコがいま した。あぁ,かわいい。 見えるでしょうか,写真の真ん中辺りの黒い点が2つ。。。風景のスナップ用に超広角(12 mm)の単焦点レンズしか持ち出しておらず,まともに撮れませんでした。申し訳ございません。

  • その他,ハクトウワシもちらほら居ました。安定のかっこよさ。
    乗船者の中には,釣り好きも何人かいて,時間が空けば竿を振っておりました。中には全然つれない人も居りましたが,マス,コマイ,カジカなどが釣れていたようです。とても自然豊かです,ダッチハーバー。

  • さて,明日は乗船,明後日は出港と,いよいよ仕事モード。

(杉江)


ハクトウワシ

ラッコ
マス

2017年8月20日 ダッチハーバー的に快晴

  • 飛行機のトラブル回避のために余裕を持って出発するも順調に到着したため出航の3日前に現地に到着。「みらい」はまだ港に着いておりません。さて,何しよう。

  • せっかく晴れているので,移動疲れを押して少し散策。高さ約120 mの丘に登り,港周辺の写真を撮って歩きました。景色だけは本当に良いところです,ダッチハーバー。登った丘には,砲台やトーチカの残骸が残っております。先の第二次世界大戦のときのもので,当時ここまで攻めてきた対日本軍用に作られたものです。。。。武力による制圧では恒久平和が生まれないことは歴史が何度も何度も物語っているのに,昨今は。。。とただただ平和を願う今日この頃です。

  • 登ってきた側と反対側から降りると,そこでもまた絶景。でも,じわじわと雲が出てきたような。
    日が陰ると寒い。早くホテルに戻ろう。外気は10度前後。さすがアラスカ。ま,これからさらに北上するんですが。

(杉江)


トーチカ
港の反対側,雲が出てきた

2017年8月19日 MR17-05C次「みらい」北極航海,乗船へ

  • こんにちは。今年も8月23日より,JAMSTECの海洋地球研究船「みらい」による北極観測の航海が始まります。
    今回はアラスカの端,ダッチハーバー(北緯53.7度,西経166.5度)から乗船し,北極海へと向かいます。ということでまずはダッチハーバーに移動。下記のように,成田空港(NRT)からシアトル(SEA),アンカレッジ(ANC),と経由したのち,最終目的地のダッチハーバー(DUT)に到着します。

  • NRT-[8時間半]-SEA-[3時間半]-ANC-[2時間半]-DUT

    の行程のフライト時間は14時間越え。乗り継ぎの待ち時間やアンカレッジでの一泊を加算すると,到着まで丸1日以上かかります。
    そんな中,成田からシアトルに向かう途中,離陸して4時間くらいが過ぎ,じっと座っているのが辛くなってきた頃合いに,フライトの状況をみるとどうでしょう,まもなくダッチハーバーの南方を通り過ぎようとしているではありませんか。

  • 直行便なら5時間前後で到着するのでは。直行便!直行便!と心の中でシュプレヒコール。
    ま,絶対採算あわないし,大型の旅客機はダッチバーバーのミニ空港に着陸できないし,叶わぬ夢なんですが,ダッチハーバーに行くとき,あるいはそこから帰国するとき,毎度心によぎる想いを今回の航海日誌の序章といたしました。

  • さて,明日からは何しよう。

(杉江)


移動